父親の再婚相手と財産トラブルにならないために

遺産分割対策:父親の再婚

80歳の父が「再婚したい」と言い出しました。長男は、「父が幸せになるのなら、再婚も良いだろう。しかし、父の財産が父の再婚相手に取られてしまうことはないだろうか」と心配です。

父の相続が起きれば、父の再婚相手は父の財産の半分を相続する権利があります。父の財産は自宅とアパート、それに銀行預金です。

父は、自宅で再婚相手と二人で暮らしたい様子。「遺言を作り、長男にすべて相続させることにするから、心配いらない。ただ、自分が死んだ後もここに住まわせてやってほしい」と言います。それでも長男は、父の再婚相手が居住権などを主張してこないか、やはり心配です。

そこで、「家族信託」です。

家族信託を使えば、「自宅のみを父の財産から分離して、第一は父、第二は父の再婚相手のために利用する。最後は長男のものとする」ということができます。つまり、父と父の再婚相手が自宅に住み、父亡き後も父の再婚相手がそのまま住むことができ、そしてその人が亡くなった後は長男が受け継ぐということができるのです。

自宅以外の財産、アパートや銀行預金は別の家族信託を契約して、「長男が父のために管理し、父が亡くなったら父の再婚相手には行かず、長男が受け継ぐ」とすることができます。

再婚を望んでいる父の願いを叶えつつ、財産の散逸を防ぐことができる、それが「家族信託」です。