不動産を信託すると、固定資産税は?

自宅やアパート等の不動産を
信託財産とした場合、
固定資産税は誰が支払うのでしょうか?

ズバリ!
受託者が支払います。
でも、受託者自身の預貯金から
支払うのではありません。

父は自宅で一人暮らし。
「いつかは施設へ入居しよう」
と考えている。

つまり、自宅が空き家になる。
でもその頃には
老齢や認知症等で、
自分で空き家になった自宅を
管理したり、売却したりすることは難しい。

父が建てたアパート。
高齢になり、
リフォーム業者や銀行との折衝が
面倒になってきたようだ。

これ以上判断力が低下してしまったら、
父はもう、自分でアパートの管理が
できない。

ならば、今のうち!
家族信託で、
父の自宅やアパートを
託してもらいましょう。

託す人(委託者):父
託される人(受託者):子
利益を受ける人(受益者):父

父からみたら、何も変わりません。
自分の自宅に住み、
自分のアパートの収益金をもらいます。

変わったのは、
管理等を子がしてくれる
ようになったこと。

自宅やアパート等の
不動産を信託した場合、
『この自宅やアパートは
子に託しました。
管理・運用・処分等は、
子に任せてあります。
でも、子にあげた(贈与した)
わけではありません。
託したのです!』
という意味の登記をします。

所有者の欄に
「受託者〇〇(子の名前)」
という登記がされます。

当初の質問に戻ります。
自宅やアパート等の不動産を
信託財産とした場合、
固定資産税は誰が支払うのでしょうか?

固定資産税は、
その不動産の登記の、
所有者欄に登記されている人を
納税義務者として、
通知書が送付されます。

だから、
固定資産税の納税義務者は、
支払い義務があるのは、
「受託者〇〇(子)」です。

でもそれは、
「受託者(子)自身の預貯金から支払いなさい」
という意味ではありません。

自宅などの不動産を信託財産とする場合は、
いくらかの金銭も一緒に信託財産とします。
子は、不動産と金銭を託されるのです。

そして、託された金銭から、
託された不動産の固定資産税を支払う、
ということです。

父からみれば、
「自宅の固定資産税を
自分の資産から支払った」のですから、
何ら変わりはありません。

アパートなどの収益物件を
信託財産とした場合は、
その収益から
固定資産税を支払えば良いのです。

父からみれば、
「自分のアパートの収益から
固定資産税を支払う。
それを子に託した。」
こちらも何ら変わりはありません。