子どもの相続権「相続の基本6」

子どもの相続権について、みていきましょう。

被相続人(相続される人):父
母(先に死亡)
子:A(長女・父と同居)
父と養子縁組した、Aの夫:Y
子:B(次女・結婚して隣の市に住んでいる)
子:C(3女・養子に行った先で結婚し、
隣県に住んでいる)

そして、父には
離婚した前妻との間の子Xがいます。
Xは前妻と同居しています。

それに、実は、
他の女性との間に、
認知した隠し子:Dもいます。

相続権は、誰がどれだけでしょうか?
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父にとって実子(じっし。実の子)はA、B、CとX。
結婚して出て行ったとか、
養子に行ったとかいうことは、関係ありません。

離婚によって夫婦関係は切れますが、
親子関係はそのままです。
よって前妻との間の子Xは、
父の子(実子)なので相続人。

養子は実子と同じ相続権があるので、
養子縁組したAの夫Yも相続人。

では、隠し子Dは?
Dが「私も父の子だから、相続権がある!」
と主張するには、証拠が必要です。
事実婚(婚姻届を出していない)の場合、
母と子は妊娠・出産で母子関係がわかりますが、
父と子の関係はわかりません。
そこで、戸籍上で「私の子だ」と証明できるように、
「認知届」を出します。
認知届を出すと、
父の戸籍に「Dを認知した旨」が記載され、
Dの戸籍(Dの母の戸籍に入っているDの欄)に
父に認知された旨が記載されます
(Dを認知したことにより、
Dが父の戸籍に入るわけではありません)。
これでDは「私も父の子だから相続人だ」
と主張できます。

Dの立場は非嫡出子(ひちゃくしゅつし。
婚姻関係にない男女間の子)です。
以前は嫡出子(ちゃくしゅつし。
婚姻関係にある夫婦の間の子)と
非嫡出子とで相続分が違っていましたが、
平成25年の改正で同じ相続分があることになりました。

よって、父の相続人は、実子X、A、B、C。
養子Y。
それに認知した子Dの6人。
相続分は全員同じ、6分の1ずつです。