遺言のすすめ その5 他の子の相続権を半分に!

先祖代々の土地をすべて長男に継がせたい。
でも、他の子たちから文句がでるだろう。
相続人は子ども3人(長男・次男・長女)。
財産は4000万円相当の土地と2000万円の預貯金。
土地を売って2000万円ずつ分けるしか
方法はないのだろうか?

いえ、あります!うまく分ける方法があります!

子ども3人ですので、法定相続分は3分の1ずつ。
しかし、遺言があれば、
他の子たちが請求できるのは3分の1ではなく、
6分の1になります。
どうしてか?
遺言で権利を侵害された場合は、
法定相続分を請求できるのではなく、
遺留分を請求できるに留まるからです。

遺留分は、
「遺言によっても侵害されない、
法定相続人の最低限の権利」。
これは兄弟姉妹には無く、
直系尊属(父母・祖父母)のみが
相続人場合は遺産の3分の1。
それ以外の場合は遺産の2分の1が対象となります。
今回は子ども3人ですので、遺産の2分の1が対象となり、
それに各自の法定相続分である3分の1を掛けて、
6分の1となるのです。

「すべてを長男に相続させる」という遺言であれば、
次男と長女が「遺留分が侵害された!」
と言って請求できるのは6分の1ずつなのです。
また、「4000万円の土地を長男に相続させ、
次男と長女には各1000万円の預貯金を相続させる」
という遺言にすれば、
次男と長女の遺留分を侵害していないので、
それ以上の請求はできないことになります。

法定相続分よりも少ない財産しかもらえない子のために、
遺言の付言事項には
「先祖代々の土地を守ってほしいので、この遺言にしました。
次男と長女には残してあげる財産が少なくて、
申し訳なく思います。
お父さんの気持ちをわかって、了承してください。
兄弟仲良くして、
幸せにくらしてほしいと願っています。」などと書き、
気持ちを伝えておきましょう。