家族信託をすると、なぜ子が父の家を売ることができるのか

家族信託をすると、なぜ子が父の家を売ることができるのか 

父の認知症が進んで、判断力が無くなってしまっても、あらかじめ家族信託をしておけば、子が父の家を売ることができます。

家を売る場合、売主は家の所有者である父です。売主である父の判断力が無くなってしまえば、売買契約ができないので、家を売ることができません。

しかし、父が元気な時に、家族信託をして子に託しておけば、子が父の家を売ることができます。

では、家族信託をすると、なぜ子が父の家を売ることができるのでしょうか?

それは、託された子が、父の家の所有者になるからです。「信託による所有者」です。登記もします。「信託による所有者」になった子は、父の家の売主として、売買契約をすることができます。

「俺が倒れたら、俺の家を売って、介護費用に充ててくれ。」

これを口約束で頼んでおいただけでは、父の代わりに子が売主になることはできません。それを家族信託で子が「信託による所有者」になっておけば、子が父の家の売主になって売ることができるのです。

「俺が倒れたら、俺の家を売って、介護費用に充ててくれ」と思っているのであれば、口約束ではいけません。きちんと家族信託をしておきましょう。判断力がしっかりしている、“今のうち”です。