「遺産分割前に預貯金の払戻しができる」2019年7月1日施行

Q68 新設された「預貯金の払戻し制度」について教えてください。

A 2019年7月1日から、「預貯金の払戻し制度」が施行されました。

今までは、被相続人(亡くなった人)の預貯金を払戻すためには、「この預金は長男が相続する」、「この預金は、長女と次男が2分の1ずつ相続する」などと遺産分割協議をしなければなりませんでした。遺産分割協議は、法定相続人の全員の一致が必要なので、なかなかまとまらない場合もあります。

今回新設された「預貯金の払戻し制度」は、遺産分割の前に預貯金の払戻しができる制度です。

ただし、全額払戻しができるわけではありません。葬儀費用の支払いなどに対応できるようにと、一定額までの払戻しを認めるものです。

その一定額とは、預貯金口座ごとに、その預貯金の額の3分の1に、払戻しを受ける人の法定相続分を乗じた金額です。たとえば、法定相続人が長男と次男の2人で、預金が600万円ある場合、長男の法定相続分は1/2なので、長男は単独で600万円×1/3×1/2=100万円の払戻しができる、ということになります。

また、1つの金融機関から払戻しが受けられるのは、150万円までです。上記の場合で預金が1200万円あったとしても、長男は200万円ではなく、150万円まで払戻しが受けられる、ということです。

払戻した預貯金は、その相続人が遺産分割により取得したとして、精算します。

「亡くなったら預金が凍結される!」が緩和され、葬儀費用や生活費の支払い、ローンの返済等、当面の支払いには困らないようになりそうです。