「家族信託」は誰のため?

母が亡くなって、一人暮らしの父。年相応に老いてきている。「いつかは自宅を売って施設に入ることになるだろう」と、父本人も、息子や娘たちも考えている。そこで、「今のうちに家族信託をしておこう!」と決心。そうすれば、父の自宅を息子が管理して、時機を見て売ることができる。

 

そうです。今のうちに、家族信託をしておくこと、それは正解です!

 

しかし、一つ注意していただきたい点があります。

 

それは、家族信託は誰のためなのか、ということです。

その内容は、「家族信託の目的」で明確になります。

 

この場合、「家族信託の目的」は、「息子が父の家を自由に売ることができる」ということではありません!!

 

えっ?息子が父の家を売ることができる制度ではない?

 

家族信託をすることによって、父の家は、信託による所有権移転により息子名義になり、息子の判断で売ることができます。

 

ほら!やはり、息子が父の家を売ることができる制度でしょ?

 

いえいえ、「家族信託の目的」は、「息子が父の家を自由に売ることができる」ということではないのです。

 

「家族信託の目的」は、“受益者(この場合は父)のため”というところにあります。

 

この場合の家族信託の目的は、

『息子が父の家を管理、または処分することによって、父の安定した生活を確保すること』これです!

「(受益者である)父のための家族信託」です。

「息子のための家族信託」ではありません。

「息子が父の家を自由に売ることができる」のは、父の安定した生活を確保するための“手段”でしかありません。

 

「家族信託をすれば、親の財産を子が自由に、勝手に、何でもできる」という認識は間違いです。

 

家族信託は誰のためのものか、を明確にして、それに沿った運用をして行くことが大切です。