最近の「成年後見」事情と「家族信託」

親が75歳になったら、やっておきたい、たくさんのこと!!
最近の「成年後見」事情と「家族信託」

 

 成年後見制度をご存じでしょうか?

 判断力が不十分になった人を支援する制度です。

 本人の判断力の程度によって、補助・保佐・後見の3種類に分かれます。

 

 平成29年12月には、全国でこの成年後見制度を利用している人が、21万人を超えました(「成年後見関係事件の概況」最高裁判所事務総局家庭局)。

 

 その約78%は、「後見」。本人の判断力がほとんど無い状態です。

 

 そして利用動機は、「預貯金等の管理・解約」が最も多く、29,477件(42.40%)。

 2位の「身上監護」13,312件(19.14%)のなんと!2.21倍です!!

 3位「介護保険契約(10.07%)」、4位「不動産の処分(9.39%)」、5位「相続手続(8.83%)」と続きます。

 

 また、成年後見人として裁判所から選任されるのは、親族が約26.2%。

それ以外は、弁護士・司法書士などの第三者が選任されています。

 

 “成年後見は裁判所に管理されるみたいで嫌だ”という声を聞きます。

 加えて、成年後見人として弁護士などが選任されれば、“親族が本人を支援したくても自由にはできない”という状態にもなりかねません。

 

 

 そこで、考えたいのが「家族信託」の利用です。

 「家族信託」なら、裁判所が係わることはありません。

 弁護士などの第三者がお金を管理することもありません。

 信頼できる「家族」同士で行うことができます。

 

 父(委託者)から預貯金の管理・処分を託された長女(受託者)は、父(受益者※父は委託者兼受益者)のためにそのお金を引き出して、使うことができます。

 この場合、贈与税などの税金もかかりません。

 

 ただ、「家族信託」は、本人の判断力がしっかりしているうちに信託契約をする必要があります。

 

 「家族信託」は、財産管理の一手法。

子世代が親のために、親の財産管理をすることができます。

 

 親の判断力がハッキリしているうちに、家族で話し合ってみてはいかがでしょう。

そして、できれば親と一緒に、専門の司法書士等に相談してみましょう。