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「一筆書いてもらったけれど…」
父が亡くなった後、子供ふたりが話をしています。
長男「俺、お父さんに一筆書いてもらってあるんだ。」
『すべての財産を、長男一郎へ渡す。
還暦に寄せて 鈴木一男 印』
長女「私も書いてもらってあるのよ」
『〇〇市〇ケ丘一丁目〇番の土地は、長女花子へ譲る。
還暦になった父 鈴木一男 印』
実は、父から「すべて長男に任せるように、書いてある」と聞いた長女が、「あの土地だけは私に頂戴!」と頼んで書いてもらっていたのです。
どちらも日付がハッキリとは書いてありません。
遺言は、後から書いたものの方が優先します。
ですから、日付は大切な要件です。
「還暦に寄せて」とは、満60歳の誕生日なのか、数えの60歳であって満年齢よりも1年早いのか、満60歳になる年の元旦なのか、はたまた61歳の誕生日の前日なのか…。
とにかくハッキリしません。
もちろん、「還暦になった父」では、日付が書いてあるとは言えません。
せっかく書いてもらうのなら、しっかり書いてもらいましょう。
文言としては、「渡す」「譲る」ではなく、「相続させる」。
そして日付はハッキリ、キチンと書く。
長女が父に書き直しを頼むのであれば、このように書いてもらうと良いでしょう。
『〇〇市〇ケ丘一丁目〇番の土地は、長女花子に相続させる。
そのほかの財産はすべて長男一郎に相続させる。
平成30年6月15日 住所 鈴木一男 印』
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