Q56 夫が亡くなりました。子供は2人いますが、ふたりとも結婚してそれぞれ別に暮らしています。夫名義の自宅と夫の銀行預金は、妻の私が全部もらいたいと思います。子供ふたりに放棄してもらえば良いですか?

A 「放棄」してもらうのでは、ありません。

 「放棄」という言葉をお使いですが、法律上の「相続放棄」は違います。

法律上の「相続放棄」とは、家庭裁判所に申し出て行うものです。

この「相続放棄」をすると、始めから相続人ではなかったことになります。

 

 夫が亡くなった場合、相続人は妻と子供です。ここで子供が相続放棄をすると、子供は始めから相続人ではなかったことになり、「子供がいない場合」に該当します。すると、相続人は、妻と夫の父母となります。夫の父母が先に亡くなっていれば、夫の兄弟姉妹が相続人となります。

 予想外の相続人が出てきてしまい、大変なことになってしまうかも知れません。

 

 ご質問の場合は、「放棄」ではなく、「遺産分割協議書」に印鑑(実印)をもらうことになります。

 夫の相続人である、妻と子供ふたりが話し合い、「すべての財産を妻が相続する」と決定したら、その旨の「遺産分割協議書」を作成し、妻と子供ふたりが実印を押印します。これで協議が整ったことになります。

 この遺産分割協議書をもって、夫名義のご自宅や銀行預金を妻名義に変えることができます。

 

 実際に、「自分が相続放棄をすれば良いのだ」と思い込んで、自分で家庭裁判所へ相続放棄の手続きをしてしまった方がおられました。その方が相続放棄をしたことにより、次の順位の相続人に権利が移り、話が複雑になってしまいました。

 

 “思い込み”は危ないです。専門家に相談しましょう。