まだしっかりしているから、遺言は書かない!?

 相続関係のセミナーをすると、「私はおひとりさまです。」という方にご参加いただくことがあります。

 独身なので、配偶者(夫または妻)はなく、子供もいない。両親はもう亡くなっている。自分は一人っ子なので、兄弟姉妹もいない。つまり、法定相続人が全くいない、ということです。

 

・相続人が全くいない場合は、財産は国のものになること。

・ただし、自動的に国のものになるわけではなく、誰かが家庭裁判所に申し立てをしなければならないこと。

・遺言をしておけば、財産が国のものになることはなく、自分の財産の行き先を自分で自由に決めることができること。

・お葬式や、病院の清算・水道光熱費の清算などを、誰かに頼んでおくことができること(「死後事務委任契約」)と、その人に遺言でいくらかの財産をあげることをセットでするのがお勧めであること。

 等々、お話したうえで、「遺言を作っておきましょう。しっかりした、公正証書遺言を作っておくのが良いですよ。」とお勧めします。

 

 ご本人も、「自分はおひとりさまだから・・・」と思って、相続のセミナーにご参加下さっているわけです。

 

 しかし、何故か、最後にこうおっしゃることが多いのです。

「今はまだしっかりしているから、大丈夫。もっとダメになってきたら考えます」と。

 ???「もっとダメになってきたら」とは、どういうことでしょう?「病気になったら」でしょうか?「認知症になったら」でしょうか?

 病気になって、毎日、痛い!苦しい!の繰り返し。そんな状態では、難しいことは考えたくないでしょう。そんな状態で、きちんとした遺言を作ることができるでしょうか?

 「認知症になったら、遺言を作る」?

それは無理です。できません。遺言を作るには、しっかりとした判断力が必要です。

 

 遺言は、よく考えて、きちんとしたものを作っておく必要があります。

それには、体力も判断力もしっかりしている、元気な今!今のうちです!

 「今はまだしっかりしているから、大丈夫」と言える、今のうちに作るのが遺言なのです。決して「病気になったら作る」とか、「認知症になってきたら作る」とかいうものではありません。

 

 遺言は、判断力がしっかりしている今!「今のうち」しかできないのですよ!