「家族信託」その1

親が75歳になったら、やっておきたい、たくさんのこと!!
「家族信託」その1

 最近、「家族信託」とか、「民事信託」という言葉をよく見聞きするようになりました。

 NHKで特集をしていたり、新聞に取り上げられたりしています。

 

 「信託」という文字がついているので、「信託銀行」がすぐに思い浮かびます。でも「家族」の「信託」だから、違うのかな?と気付くでしょう。

 

 そう、違うのです。

 信託には2つあります。

「商事信託」と「民事信託」。

 信託銀行が行うのは「商事信託」。営利目的で、反復継続して信託を引き受けます。

 一方、「民事信託」は、営利目的ではありません。特定の相手だけを対象としていて、反復継続はしません。

 この「民事信託」の中で、特に家族・親族にまかせる場合を「家族信託」と呼んでいます。

 

 

 家族信託は、頼む人と頼まれる人(頼む人の家族)とが、信託契約を締結して行います。

 また、遺言で信託をすることもできます。これを「遺言信託」と言います。

 

 でも、「遺言信託」って、信託銀行が行っていますよね!?

 実は、とってもわかりにくいのですが、言葉が同じでも、中身は違うのです。

 

 信託銀行が行っている「遺言信託」は、公正証書遺言の作成補助およびその保管。そしてご本人が亡くなれば、遺言執行者になって遺言内容に沿った遺産の分配をするという、遺言に関する一連の手続きのことです。

 

 「民事信託」で言う「遺言信託」は、頼む人が遺言を作り、その遺言の中で「〇〇を長男に頼む・・・」と信託をすることです。

 

 これから家族信託のお話をさせていただくにあたり、まず大前提として、「信託銀行が行っている信託(商事信託)とは別のものだ」ということをご理解ください。

 似たような言葉が出てきても、「民事信託・家族信託の話なのだ」と認識していただくと良いと存じます。