遺言をパソコンで作っても良い?

遺言をパソコンで作っても良い?

「遺言をパソコンで作っても良くなる」という噂。本当でしょうか?

 

 今、民法改正が検討されています。その中に、遺言に関する見直しがあります。

 

 遺言には、公証役場で作成する「公正証書遺言」と、自分で書く「自筆証書遺言」があります。

 自筆証書遺言は、全文を自分の手で書かなければなりません。

 それを改正し、「自書(自分で書くこと)」ではなくても良いことにしようというものです。

 しかし、早合点はいけません。自書でなくても良くなる、すべてをパソコンで作っても良くなるのかというと、そうではありません。

 今、検討されているのは、自筆証書遺言の「相続財産の目録については自書でなくても良いこととする」というものです。自書でなくても良いとされるのは「財産目録」のみです。

 

 そしてまだ“検討”の段階です。決定してはいません。法律の改正ですから、決定され、改正法が施行されなければなりません。

 

 今、自分で遺言を作るのであれば、まだ全文を自分の手で書く必要があります。もちろん、相続させる財産の内容も、自分で書きましょう。

 

 「遺言者のすべての財産を、遺言者の妻〇〇(昭和年月日生)に相続させる」という内容ならば、自筆で書きやすいでしょう。

 

 「自宅の土地は誰々に。あのアパートは誰に。この株式は誰、あの株式は誰に・・・」などという、内容が複雑なものであれば、やはり公正証書遺言がお勧めです。

 

 なにより、自筆証書遺言は家庭裁判所での検認手続きが必要。

 一方、公正証書遺言ならば、検認は要りません。

 正確で、すぐに使える!

 今後、財産目録を自書しなくても良くなったとしても、結局、公正証書遺言がお勧めです。