母に書いてもらった!?

 先日、「母の遺言です。」と持って来られた方がありました。見ると、内容と署名の文字が全く違います。「これはどなたが書かれたのですか?」と尋ねると、「内容は私が書きました。名前は母に書いてもらいました。」とのこと。これでは自筆証書遺言の要件を満たしていません。「残念ながら、これはお母さんの遺言とは認められません」とお話ししました。

 

 自筆証書遺言の要件は、4つ。

  1. 全文を自分で書くこと
  2. 日付を書くこと
  3. 名前を書くこと
  4. 印鑑を押すこと

 そして、住所も書いておきましょう。

 

「手が震えて字が書けない」という場合はどうでしょう?

 

 遺言を作るには、「遺言能力」が必要です。遺言の内容を自分で判断し、その効果を理解する力が必要です。そして自筆証書遺言を作るのであれば、“自分で書く”という能力も必要なわけです。

 

 「母は手が震えて、字がうまく書けないけれど、自書でなければならないから・・・」と、長男が手を添え、なんとか書かせた。これならば良いか、というと・・・。

 妹:「お母さんの手はいつも震えていたわ!こんな字は書けないはずよ!手を添えただけなんて、嘘!これ、お兄ちゃんが書いたってことでしょ?!お母さんの遺言だなんて、認めないわ!」と争いになってしまいます。

 

 家族ためを思って遺言をしようとしているのに、それが家族の争いの元となってしまっては、とても悲しいです。

 

 「判断力はあるけれど、自分で書くのは難しい」という状態であれば、公正証書遺言をお勧めします。

 公正証書遺言は、遺言をする人が遺言の内容を口述して、公証人がそれを公正証書にします。

 公証役場で作るのですが、公証役場に行くことが難しいのであれば、公証人が出張もしてくれます。

 せっかくですから、きちんとした遺言をつくりましょう。

 もちろん、公正証書遺言がお勧めです。