「使えなかった自筆証書遺言」の話

ご主人の自筆証書遺言が見つかりました。
奥様は、家庭裁判所で「検認」の手続きをしました。

そのとき、家庭裁判所の人に言われたそうです。
「この遺言書は、検認しても使えないかも知れませんよ」と。

どうして、検認した自筆証書遺言が使えないと思われたのでしょう。
自筆証書遺言の成立要件の4つがクリアできていなかったのでしょうか?

  1. 全文を自分で書くこと
  2. 日付を書くこと
  3. 名前を書くこと
  4. 印鑑を押すこと

いえ、4つの成立要件はクリアしていました。
こんな遺言でした。

全部を自分で書いていたし、日付も名前も書いてありました。印鑑もちゃんと押してありました。
では、どうして使えないかも知れないと思われたのか・・・

実は、住所が書いていなかったのです!!
住所の記載がないと、同姓同名の他人と区別がつきません。

住所の記載は、自筆証書遺言の成立要件ではありませんが、
住所の記載がない場合には、使えないこともありますので、
注意が必要です。