配偶者 「相続の基本1」

配偶者とは、婚姻関係にある夫婦の一方のこと。
夫から見た妻。妻から見た夫。
婚姻届を出していることが要件です。
事実婚とか、内縁とかでは「配偶者」ではありません。

婚姻届を出していない、事実婚の状態でも、
社会保険の扶養に入ることができる、
生命保険の受取人として指定できる、
犯罪被害者の遺族と認められるなど、
社会が事実婚を容認する方向に動いているようです。
住民票には「未届の妻(夫)」という記載方法があります。

しかし、相続に関しては事実婚では権利がありません。
婚姻届を出していない場合は「配偶者」ではないので、
相続人とはなりません。

亡くなる直前に婚姻届を出した場合はどうなるのでしょう?
もちろん、ちゃんと婚姻届を出したのですから、
「配偶者」となって、相続権を取得します。
期間や時間の問題ではありません。

思い出すのは、俳優の宇津井健さんの相続です。
前妻の死亡後に内縁関係にあった女性と、
亡くなる5時間前に結婚した(婚姻届を出した)そうです。
「男のケジメをつけた。カッコいい!」と話題になりましたが、
案の定、『争続』が発生しました。
前妻の子と後妻とで、もめてしまったそうです。
子からすれば、「相続人は自分ひとりだ」と思っていたのに、
急に自分とは無関係な「父の後妻」が出てきて、
財産の2分の1を主張されるのですから、
もめますよね。

事実婚の相手に財産を残したい場合は、
「遺言をする」という方法があります。
遺言なら、法定相続人以外の人へ
財産を遺すことができます。

婚姻届を出すと、「配偶者」となり、
つまりは他の法定相続人の相続分が減ります。

相続においては「配偶者」かそうでないかは、
大きな違いがあります。