親の金 もっとあるはず 隠すなよ

相続で「もめる理由」はいろいろあります。
今回は、「亡父のお金はもっとあるはずだ」
と言ってもめた事例です。

亡父の遺産は銀行預金のみ。
母が亡くなった後、
父は自宅を売って、
「ちょっと高級な老人ホーム」に入りました。
それらは、同じ市に住んでいる長男と
相談して行ったことです。

いざ、父が亡くなると、
遠方に住んでいる次男と長女が
父の銀行預金を見てこう言うのです。
「え~っ!お父さんのお金ってこれだけ?
違うよね!もっとあるよね!
兄貴が隠しているんだ!!
ちゃんと出してよ!!」

「退職金をもらっているし、
その後自宅を売ったので、
たくさんのお金があるはずだ」
と言うのです。

「いや、これだけだ」と
長男が父の銀行預金を見せても、
「そんなはずはない!」と
信じてくれません。

「じゃあ、兄貴や兄貴の子どもに生前贈与したのかも?
たからお金がないんだろ!?
自分だけ得をして、
僕らにお金をくれないつもりだね?」
こんな風に、言い出す始末。

実際には、母の生前、
足が悪くなった母のために
家中に手すりを付けるなどのリフォームをし、
その後、車いす生活になった母のために、
今度はせっかく付けた手すりを外して、
玄関の段差をなくしてスロープにし、
キッチンの高さを低くし、
お風呂を介護用にリフォームしたなどの費用に
たくさんのお金を使っていた。
自宅の売却も、
売り急いだことや、
接道が良くないことなどで、
思ったより高くは売れなかった。
それで「ちょっと高級な老人ホーム」の
入所費用を支出したので、
本当にこれだけしか残っていないのでした。

でも、長男がいくら説明しても、
次男と長女は聞く耳を持ちません。
次男と長女は
感情的になってしまって、
何を言っても信じてくれません。
こうなると、話は平行線。
決着がつきません。

相続は、お金に感情がからんで
もめてしまいます。
人間関係で難しいのは、感情です。
それがお金にからみついているので、
さらに難しくなっているのです。

この事例は、
結局家庭裁判所で調停になりました。
幼い頃は仲の良かった兄弟姉妹でも、
相続でもめてしまい、
絶縁関係になってしまった、
という事例です。

父が長男にだけ相談して、
次男や長女に何も話していなかったのが
いけなかったのでしょうか?
あなたの親子関係・兄弟関係は
だいじょうぶですか?
コミュニケーションを
とっておきましょう。