岡崎市で家族信託・相続の手続きを専門に行っている事務所です。
家族信託の活用事例紹介、家族信託の手続きの流れを紹介しております。
家族信託について詳しく知りたい方向けの無料セミナーも毎月第3水曜日に開催しております。
「すみません、父の銀行預金を解約したいのですが…」
ある日、銀行の窓口にいらしたAさん。亡くなったお父様の預金を手続きするために来店されました。
ところが、その日対応した窓口スタッフが言ったのです。
「えっ?昨日、同じように“鈴木英雄様の長男”と名乗る方が来て、解約手続きの申し込みをされたんですが…」
Aさんは驚きました。
「え?いや、私がその“長男”なんですけど…?」
実は――あるんです。
これ、実際にあったケースなんです。
昨日手続きをしたという「Tさん」も、亡くなった鈴木英雄さんの“長男”と記載された戸籍謄本を提出していました。
そして、今日来店したAさんも、同じように“長男”と記載された戸籍謄本を持参しています。
どちらも「長男」と書かれている。
父の名前も同じ「鈴木英雄」。
でも、戸籍で唯一異なる点がありました。
それは「母」の名前。
Tさんの母:鈴木恵子
Aさんの母:鈴木美知子
…そう、これは異母兄弟だったのです。
この答えは、戸籍の“あるルール”にあります。
戸籍でいう「長男・次男」は、家族全体での順位ではなく、一組の夫婦の間に生まれた子の順で決まるのです。
つまりこういうこと。
英雄さんと前妻・恵子さんの間に生まれたTさん ⇒ 長男(前の婚姻関係での1人目の男子)
英雄さんが恵子さんと離婚し、後妻・美知子さんとの間に生まれたAさん ⇒ 長男(別の婚姻関係での1人目の男子)
だから、どちらも戸籍上「長男」になるんです。
「長男=ひとりしかいない」というのは、あくまで一般的な感覚。
でも、戸籍の世界では“夫婦ごとの最初の男子”が長男になるため、異母兄弟などがいる場合は、「長男」がふたり以上になるケースがあるのです。
今回のように銀行の手続きでは、戸籍をもとに本人確認を行うため、表面的な情報だけでは家族関係が正確に把握できないこともあります。
家族の形はさまざま。
そして、戸籍の表記にもルールがあります。
「うちは大丈夫」と思っていても、相続や手続きの場面では思わぬ落とし穴があることも。
今回のお話が、そんな家族の“見えない関係”に少し目を向けるきっかけになればうれしいです。
Copyright © 岡崎家族信託・相続手続き事務所 All Rights Reserved.