父の相続で「すべて母」は危険?

「お母さんが全部でいいよ」の先にある現実

― 父の相続を「先送り」にしないために ―

親の相続の場面で、こんな会話を聞いたことがありませんか?

「お父さんの財産は、全部お母さんが相続すればいいよ。」

一見、親思いで、円満な解決に見えます。しかし、これは実は**“問題の先送り”**にすぎません。

父の相続をすべて母に…そのときは円満でも

たとえば、父が亡くなったときに、母がすべての財産を相続。子ども3人はあっさり同意して、何の問題も起きなかった。

でも、それから数年後、今度は母が亡くなったとき──
その時には、「子どもたち3人だけ」で相続の話をまとめなければならないのです。

子ども3人、それぞれの「思い」が衝突する

  • 長男:「母の自宅はいずれ、自分の子に建て替えさせて住まわせたい」

  • 長女:「家はいらない。でも看病も介護も全部私がやった。だから多くもらいたい」

  • 次男:「財産は平等。家を売って、3分の1ずつ分けたい」

…このように、それぞれの立場や思いが違えば、争いは避けられません
しかもその時には、もう親の仲裁はありません

親が元気なうちに「一言伝える」ことの大きさ

もし、父の相続の際に母がこう言っていたらどうでしょう?

「この家は将来、長男と、その子どもに継いでもらいたい。だから長男名義にしようと思う。
○○(長女)と△△(次男)は分け前が少なくなってしまうけれど、私の気持ちをわかってね。」

この“たった一言”があるだけで、残された子どもたちは納得しやすくなります。

親の意向があるかないかで、兄弟姉妹の気持ちは大きく変わるのです。
親の一言は強いです!片親であっても、いるといないでは大違い!
子どもたちだけで言い合いをすることになる前に、親の力を借りて、じょうずな相続をめざしましょう。

相続は「2回セット」で考える

父の相続を「母にすべて」で終わらせてしまうのはラクなようで、
実は母の相続でもめるリスクを先送りしているだけ。

だからこそ、父の相続のときにこそ考えておきましょう。

  • 次に母が亡くなったとき、どうなるか?

  • 子どもたちだけで、話し合えるのか?

“今、誰ももめていないから大丈夫”と思っていても、
いざその時が来たら…という事例、たくさんあります。

「お母さんが全部でいいよ」は、解決ではありません。
家族の将来の関係を守るためにも、安易に考えるのではなく、先をよく見据えて、じょうずに相続していく方法を考えましょう。