岡崎市で家族信託・相続の手続きを専門に行っている事務所です。
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先日、上野千鶴子氏の講演を聞く機会がありました。
内容は、「おひとりさまは自宅で死ねるか?」
という命題に、
「訪問看護・訪問医療を利用すれば、
自宅で看取られて亡くなることができる」と
という結論を導いていらっしゃいました。
「死亡原因は癌がいい。
死亡の直前まで意識がはっきりしていて、
PPK(ピンピンコロリ)ができる」とも
おっしゃっていました。
それで「あれ?」と思ったのは・・・
「おひとりさまの死亡届は誰が出すのか?」
ということです。
「おひとりさまの葬式は誰がする?」は
以前ブログに書いたとおり、
「死後事務委任契約」をしておけば、
身寄りのないおひとりさまの葬式を
委任した相手にしてもらうことができます。
しかし、死亡届は違います。
医師は死亡診断書を書くことはできますが、
死亡届を出すことはできません。
また、
死後事務委任契約には死亡届は含まれません。
死亡届を出すことができる人は、
法律で決まっています。
戸籍法第87条「死亡届出義務者」
1.同居の親族
2.その他の同居者
3.家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人
(※入院していた病院の病院長、
施設の施設長など)
4.同居の親族以外の親族
配偶者がいない、子がいない、親も亡くなっている、
ひとりっ子なので兄弟姉妹もいない。
叔父・叔母、おい・めい、従兄弟等も誰もいない、
そんな親族が誰もいないおひとりさまが、
自己所有の自宅で亡くなった場合には、
誰が死亡届を出すのでしょうか?
いえ、
誰が死亡届を出すことができるのでしょうか?
実は、
戸籍法第87条の後ろの方に、
付け加えるように書いてあります。
「死亡の届出は、後見人、保佐人、補助人、
任意後見人及び任意後見受任者も、
これをすることができる」
ただ、PPK(ピンピンコロリ)の場合は、
成年後見制度を利用していないでしょう。
ということは、
後見人、保佐人、補助人、任意後見人はいません。
最後にすがることができるのは、
「任意後見受任者」です。
「任意後見受任者」とは、
任意後見契約で、
将来後見人となることを受任した人です。
任意後見契約とは、
「自分が認知症などで判断力が無くなった場合、
この人に後見人になってもらいます」と、
元気なうちに、任意の人に
将来後見人になってもらうことを
委任しておく契約です。
公正証書で契約をする必要があります。
ということは、
全くのおひとりさまが、
自己所有の自宅で亡くなるためには、
死亡届を出すことができる人がいないので、
あらかじめ、
公正証書で「任意後見契約」をして、
「任意後見受任者」を作っておかなければならない、
という結論です。
おひとりさまは、安易に死ねませんね!
遺言、死後事務委任、
そして任意後見契約。
これだけはしておかないと、
周りの人がたいへん迷惑します。
ぜひ、万全の準備をしてくださいませ。
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